自動車教習所はなぜ高いのか!?

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自動車教習所料金の平均

みなさんもご存知の通り、自動車教習所では平均20万円~30万円ほどの教習料金が発生します。安いところでは15万円ほどで通えるところもあれば、都心部では35万円以上かかるなど、地域によって少し差が出てきます。

車や家を買うほどではありませんが、数ある国家資格の中でも出費としては大きい部類に入るのではないでしょうか。自動車免許ローンなんて商品もあるくらいですからね。

では、なぜ自動車教習所の料金体系はこれほどまでに高価なのでしょうか。以下の項目でその謎を紐解いていきましょう。

自動車教習所の料金が高い理由

公正取引委員会の存在

自動販売機で販売されている缶ジュースのほとんどがなぜ130円(2018年現在平均値)なのか…。それは公正取引委員会によって適正価格が定められているからです。

この適正価格は常に変動するものであり、10年前は110円だった缶ジュースが今では130円で統一されています。これは適正価格に変動(原材料の高騰など)が生じたからです。

個人で所有している自販機の中には比較的安価な80円で販売されている例もあれば、富士山などのように輸送が困難な地域では500円で販売されていることもあります。ただそれら以外の一般的な自販機では130円だと思います。

自動車教習所の世界でもこの公正取引委員会の影響を強く受けます。あまりにも他校より安い料金体系にしてしまうと、公正取引委員会より「それでは競争にならないから適正な価格に直しない!」との通達が来てしまうのです。

その通達を無視してしまうと営業禁止処分を受けてしまいます。値段を下げたくても下げられない事情はここにあるのです。(そももそ施設や車の維持費を考えると決して儲かっていわけではありませんが)

なぜこれほど高価な適正価格になったのか

答えはズバリ簡単には免許を取らせないようにするためです。

これが2万円ほどで免許が取れてしまうのなら、必ず「違反で免許をなくしてもまた取ればいいやぁ。」なんて人が表れます。

海外の現状を見れば理解しやすいのではないかと思うのですが、例えばメキシコシティでは免許が2,000円で購入できてしまいます。

考えてみて下さい。みなさんが教習所に通い始めて最初にハンドルを握ったあの頃を。想像以上の難しさに混乱した人も少なくないはずです。

自分の考えている通りに車が動かず縁石に乗り上げてしまったり指導員に補助ハンドルを取られたり。

このような運転に関わる練習を全くしていない人たちであっても、メキシコではたった2,000円で免許を購入できてしまいます。

そりゃ道端で車に轢かれた人が至るところで転がっているわけですよ。当然ルールなんて知りませんし、ガイドブックなんて配ってもそもそも読んだりしませんからね。

海外で起きる交通事故と、日本で起きる交通事故の大きな相違点は、海外が自動車の「運転ミス(技量不足)」で生じる事故が多く、日本では人の「判断ミス」で生じる事故が多いという点です。

日本では高価な価格設定だけではなく、長い教習(技能・学科)を経て試験に合格しなければ免許を取得することが出来ません。

ですから一度免許を取消処分などでなくしてしまうと、再取得にかなりの費用と労力がかかってしまうのです。

これだけ厳しい基準を設けている日本は当然世界でもトップの運転水準を誇り(事故を起こしにくいという意味で)、日本で取得した免許ならば海外のどこに行っても使用できます。

近年では日本の免許を一種のステータスと認識している外国人も多く、わざわざ日本の教習所を卒業してから国際免許に切り替える人も多いのだとか。

管理・維持費を考えると妥当な金額

教習料金が高いので、さぞかし教習所は儲かっているようなイメージを持たれることも多いのですが、その大半は施設や車の維持費と人件費に消えていきます。

当たり前ですが指導員のポケットマネーには一切入りませんし、特別給料が高いわけでもありません。しかしながら教習所は国の業務を委託して行っている性質上、求められる水準もかなり高度なものになっています。

そのためコースが少しでも歪んだら数100万円かけて直しますし、照明が経年劣化で暗くなってきたら1,000万円単位で直ちに修復を行います。予約システムの入れ換えにはパソコンを含めると2,000万円単位で出費が発生します。

このように視点を変えると、通っている側から見れば高い教習料金も、実は教習所が維持できるギリギリのバランスで設定されていることが分かると思います。

ですから規模の小さな教習所においてはシステムの入れ換え費用を捻出することが出来ず、新システムに移行する前に営業をやめてしまう教習所も少なくないのです。(ガソリンスタンドと境遇が似ていますね)

以上が自動車教習所における教習料金が高い理由となります。