本当は安くない軽自動車

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人気の高さは価格の高さ

日本では独自の規格として軽自動車区分と言うものがあります。これは排気量や車体サイズを大きく制限する代わりに、路面を傷める影響の少ない軽自動車に対して税制上の優遇措置を与えようと言ったものです。

具体的な税制上の恩恵は自動車税に顕著に表れます。ちなみに日本における自動車税は他国と比較しても異常なほど高額に設定されています。以下は2018年現在での自動車税の一覧。

排気量 自家用(~2019.9/30) 事業用(~2019.9/30)
自家用(2019.10/1~)
事業用(2019.10/1~) 13年超 18年超
軽自動車 10,800 6,900 10,800 →変化なし +5,700 +6,300
1L以下 29,500 7,500 25,000 →変化なし +5,700 +6,300
1L超~1.5L以下 34,500 8,500 30,500 →変化なし +5,700 +6,300
1.5L超~2L以下 39,500 9,500 36,000 →変化なし +5,700 +6,300
2L超~2.5L以下 45,000 13,800 43,500 →変化なし +5,700 +6,300
2.5L超~3L以下 51,000 15,700 50,000 →変化なし +5,700 +6,300
3L超~3.5L以下 58,000 17,900 57,000 →変化なし +5,700 +6,300
3.5L超~4L以下 66,500 20,500 65,500 →変化なし +5,700 +6,300
4L超~4.5L以下 76,500 23,600 75,500 →変化なし +5,700 +6,300
4.5L超~6以下 88,000 27,200 87,000 →変化なし +5,700 +6,300
6L超 111,000 40,700 110,000 →変化なし +5,700 +6,300

このように軽自動車と普通車の税率を比べてみると軽自動車の税率の安さが際立っていると思います。これだけ見ると軽自動車=維持費が安いと認識するわけですね。

確かに維持費は安いと思います。しかし問題は軽自動車の購入価格です。前述の通り税率の安さから人気のある軽自動車ですが、人気があると言うことは中古車市場でもそれなりの価格で取引されると言うことです。

最近の軽自動車を新車で買った場合、ナビやらオプションやらを着けると普通車(コンパクトクラス)よりも高価になってしまうこともあります。だけどほとんどの人は税率でカバー出来ると考えているのでそれでも買ってしまいます。

購入価格によって変動する軽自動車の割高感

購入価格が安ければ軽自動車が安上がり

(例)

  • ダイハツタント(軽)→100万円
  • トヨタヴィッツ(普)→100万円

この場合5年間の使用を想定すると、5年後までに発生する税金は軽自動車が54,000円(10,800円×5年)、普通車が147,500円(29,500円×5年)になります。この時点で軽自動車の方が93,500円安くなります。

5年間使用するなら車検も2回は訪れますので、実質的には軽自動車の方が150,000円ほど安くなる見込みです。

購入価格が高ければ軽自動車が割高

(例)

  • スズキラパン(軽)→100万円
  • トヨタパッソ(普)→60万円

このパターンは中古車市場に多いですね。普通車…特に軽自動車とあまりサイズの変わらないコンパクトクラスは税率で軽自動車に負けるので本体価格を抑える傾向があります。そうでないと軽自動車に顧客を取られてしまいますからね。

この場合5年間の使用を想定すると、上記のように軽自動車の方が93,500円安くなります。車検込みだと150,000円ほど安いことも同様です。

しかし問題は購入価格です。この時点で普通車の方が40万円ほど安く購入していますね。これだけ差があると軽自動車の税率で補うことが難しくなってきます。

おそらく10年間乗ってやっと元が取れるかどうかです。それどころか車体の構造的に軽自動車の方が耐用年数が低いため、10年も乗ればどこかしらにガタが来ます。

特にエンジンマウント系の劣化やオイル漏れなどの故障もこの時期にくるため、修理費に10万円以上かかる場合があります。

もちろんコンパクトカーだって使い方によっては壊れますが、同条件で比較すると軽自動車の方が壊れます。それなら少しでも広い室内や余裕のあるエンジンを積んだコンパクトカーでいいのではって話になるわけです。