体内地図とは
人間が生まれながらにもっている不思議な能力です…と表現すると何だかオカルトチックなので、脳が作り出す感覚機能とでも表現しておきましょうか。みなさんは人馬一体という言葉を聞いたことがあるでしょうか?近年ではマツダのロードスターがこの人馬一体という表現を使っていますね。
車を自分の体の一部のように意のままに操ることが出来るという表現方法としてこの人馬一体というフレーズを活用しているのです。車の運転を始めたばかりの人は感覚を掴むために切磋琢磨しているかと思いますが、慣れてしまうと何も考えなくとも狭い道だって通過できてしまいます。不思議なものですよね。
実はこれが体内地図の能力!人間は練習を重ねることによって無意識のうちに手足の感覚を車の周囲にまで広げていきます。ようするに感覚の上では車と一体化するわけです。これは自動車に限らず自転車でも体内地図は形成され、ハンドル左右の端まで体の感覚を延ばすことによって狭い道をすり抜けているのです。
臨床実験でも実例のある現象
体内地図は脳が作り出す仮想の判定領域です。そこに体がなくとも感覚を延ばすことが出来ます。とある臨床実験では事故で片腕を失くした人がシャワーを浴びている際に、目を閉じて下を向いていると失っているはずの片腕の指先に水が滴り落ちる感覚が得られたそうです。
その人がパッと目を開けるとやはりそこには腕がない。だけど確かに指先まで滴り落ちる感覚がある。これは脳が本来あるべき(失った腕の先まで)所まで感覚機能を延ばしている現象であり、脳波にも変化があったことから信頼性の高いデータであると言われています。