落石のおそれありの標識の真相(画像あり)

記事内に広告が含まれています。

発想の転換が必要かもしれない標識

先にお見せしますがこの警戒標識が今回のトピックです。

学科教本には「落石のおそれあり(標識、標示などに従うこと)」と記載されている標識なのですが、この標識の本来の意味を知っている人はかなり少数派です。たとえば以下のような問題が出題されたとします。

この標識は落石の危険性を知らせるものなので、落ちてくる石や岩などに細心の注意を払いながら走行すると良い。

ずばり正解は◯!

と言いたいところなのですが実はこの問題に対する正解は×なのです。おそらく「こんな質問をしてくるくらいだから意外性のある×が正解かな」と展開を先読みして考えた人もいるかもしれません。しかしこの問題がなんの前触れもなく試験場で出されたなら素直に◯と答えてしまうのではないでしょうか。

落ちてくる落石は避けられない

奥多摩街道を走行中に見かけた「落石のおそれあり」の警戒標識。

そのまま走行していたらとんでもない場面に遭遇しました。

これはヤバいですね。落石の威力の高さを垣間見れます。

万が一落石が生じた場合、みなさんは転がり落ちてくる岩のタイミングを見計らって避けることができるでしょうか?残念ながら避けることができる確率は限りなくゼロに近いです。もし避けられるのなら御嶽山で噴火した際に犠牲者なんて出ません。速すぎて人間の視力で把握できる限界を超えているからです。

落石とは言っても石ではなく実際には岩が落ちてくるわけですから、数百キロの重さと落下エネルギーを加えると数トン以上の破壊力をもちます。戦車ならまだしも普通の車であるならほぼ原型はとどめていないでしょう。つまり頭上から落ちてくる岩を発見したと同時にそれは終わりを意味します。

どんなに反射神経が良くてもとっさの筋肉の反応より岩が道路上まで落ちてくるスピードの方が早いのです。落ちてくる岩を避けることはほぼ不可能であると述べたばかりですが、逆にすでに落ちている岩なら発見することができます。実はそこが大事です!

注意すべきは上ではなく下を

この標識の本来の意味は「すでに落ちている岩があるかもしれないので接触しないように気を付けましょう。ここで駐車して景色を眺めたりすると危険なのでしないで下さい。」と言ったものです。つまりこの標識がある所では上ではなく下を見るのです!

最初の問題が×である最大の根拠として「落ちてくる石や岩に注意を払う」と言う部分がありますが、この言い回しだと頭上に気をつかっていることになりますよね?正解は上ではなく下ですから、このあたりのニュアンスの違いに気をつけましょう。

落石が生じる前には小さな小石がパラパラと落ちてきたり(この現象は道路を見ていれば分かりやすい)、地面に細かな振動が発生するなどの兆候が生じます。この標識のあるところではこうした兆候も起こりうるので、その些細な変化にも気がつけるように心がけて進行しましょう。