あおり運転は犯罪行為
近年社会問題として大きく扱われている「あおり運転」。その性質は悪質かつ危険性の高いものであり、実際にこれら行為に起因した死亡事故も発生しています。こうした実情を踏まえ2020年7月、とうとうあおり運転が妨害運転違反として道路交通法に規定される流れとなりました。
罰則の強化に伴い「あおり運転」を行った者には5年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。さらに人身事故に繋がった場合は危険運転致死傷罪(ほぼ殺人罪)が適用され、死亡事故では最長で20年間の懲役で起訴される可能性があります。ようするに刑法上の犯罪歴と同一です。
あおり運転(妨害運転違反)だけでも一発で免許取消処分になってしまうため、仕事で車を使う人はあおり運転にならないような運転を常に心がける必要があります。当然ながら自身の気がつかないところであおり運転行為を行っている可能性があることも十分留意しなければなりません。
あおり運転に該当する行為
- 車間距離をつめる
- 不必要なクラクションを鳴らす
- ハイビームでの威嚇
- 迷惑行為としての急ブレーキ
- 急な車線変更による割込み
- 幅寄せ
- 蛇行運転
- 最低速度違反
- 高速道路で他の車両の前で停止する
等。あくまで「等」という表記のため、前方確認の為に道路の右側部分を走行していても前車から「あおり運転」として捉えられてしまった実例があります。道路交通法上も車道のやや左寄りを走行するよう明記されているため、他の人に誤解を与えるような運転も厳禁です。
あおり運転の罰則と違反点数
罰則1
(一般的なあおり運転に該当する行為)
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 違反点数25点→即免許取消処分(免許の取得できない欠格期間2年)
罰則2
(高速道路本線上で他人の車を停止及び急接近など危険性の高い行為)
- 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 違反点数35点→即免許取消処分(免許の取得できない欠格期間3年)
罰則3/危険運転致死傷罪
(罰則2で事故が生じた場合)
- 15年以下の懲役(傷害事故)
- 1年以上の有期懲役(死亡事故)
- 違反点数62点(欠格期間8年)危険運転致死
- 違反点数55点(欠格期間7年)全治3カ月重症
- 違反点数51点(欠格期間6年)3カ月未満の怪我
- 違反点数48点(欠格期間5年)30日未満の怪我
- 違反点数45点(欠格期間5年)15日未満の怪我
あおり運転の摘発はドライブレコーダーでも可能
ひと昔前ではどのような違反行為でも現行犯逮捕が基本でしたが、今では「あおり運転」に代表されるような悪質な行為が繰り返されているためドライブレコーダーの映像記録だけでも逮捕ができるようになっています。コンビニの防犯カメラと同じですね。
万が一あおり運転に遭遇した際にドライブレコーダーは状況再現及び証拠資料として大きく役立ちますので、以前のように泣き寝入り(本人がやってないと言い張るなど)にはなりにくい環境が整っています。あおり運転に遭遇し、警察に通報する際は早めに連絡をするようにしましょう。
自身の運転も見直してみよう
他人のミスは発見できても自分のミスはなかなか認めたがらない…ここが生物学的に未熟な生物である人間の性です。他人の運転を見る以前に、気がつかないところで自分自身があおり行為に繋がるような運転をしているかもしれません。例えばルームミラーを覗いて…
「後ろの車詰めて来てるな…。(車間不保持)」
と思っても数分前にあなたが前の車に対して同じことをやっていた可能性があります。他人に厳しく自分に甘く…それは文明人としての大人が行うべき行為ではありません。心が未熟で大人になりきれない愚かな思考です。まずは自分の運転を客観的な視点で見てみるべきでしょう。
- 先を急ぐ気持ち
- 前の車がなんだか遅いな
- 悩みごとやイライラごとがある
そんなのは自身の感想であって他人には一切関係がありません。遅いからといって車間距離を詰めればどいてくれるとでも思っているのでしょうか?逆に自分がされたらどくのでしょうか?そもそも前の車は後ろなんて見ていないかもしれませんよね?そこまで頭を働かせるのが運転です。
これらができない人は通報され場合によっては犯罪歴が残る形で制裁を受けます。逮捕されるということはまともな人なら普通やらないことをやっているからです。道路交通法は道路上における危険を排除する為に規定されているものであり、日本で暮らす以上は誰もが守るべきルールなのです。