勘違いしやすい私道の解釈!私道でも駐車違反になる!(図)

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私道と私有地を混同している人が多い

地域によっては慢性的な問題となっている駐車違反。違法駐車は他の車の妨げになるだけではなく、物質的に死角を発生させるため歩行者や自転車にとっても危険な存在です。一般公道であるなら積極的に取締りが行われるかもしれませんが、個人の所有物である私道においては違法駐車の扱いはどうなるのでしょうか。

ネット上では「取締りの対象になる」「私道だから取締りは無理」など様々な情報で溢れていますが、結論から申し上げますとほとんどの場合において「取締りの対象になる」が正解です。違法駐車に困った場合は警察を呼ぶことでしっかりと対処してくれます。逆に言えば通報をしないと動きにくいのが私道です。

ちなみにですが、ネットを見ていると多くの人が「私道」と「私有地」を混同している事実に気が付きます。そもそも私有地は一個人(或いは法人)が専有している土地…例えば自宅の庭や駐車場が私有地に該当します。当然私有地ですから他者が勝手に敷地内に侵入して来た場合は不法侵入が成立します。

一方で私道は複数の個人が共同で持ち合うことがほとんどです(家を購入する際に私道負担面積の記載があるのはこのため)。イメージ的にはこのような感じになります。

一般的に私道における所有権は目の前の土地に限らず所々に分散していることが多いです。この場合は他人の持ち分の道路を通行しても不法侵入として検挙されることはありません。なぜなら道路は複数の人が通行することを前提としているため、例えその部分が他人の持ち分であっても不法侵入にはならないからです。

現代風に例えるなら月額制のフィットネスジムやワーキングスペース、会員制のリゾートホテル等が挙げられます。これらは金銭を支払うことによって使用する権利を獲得しますが、共同で出資をしているので不法侵入にはなりません。又、金銭を負担していても個人の所有物として扱われないのは「道路」と同じです。

つまり私道であっても公道と同じように個人が自らの利益のために道路を専有する行為は禁止されています。視野を広く見れば一般公道であっても日本国民全体の税金で管理されているため個人が専有することは出来ませんよね。よって道路上に自転車を置いたり駐車場代わりに使用するのは違法となるのです。

一方で私道において警察が積極的に取締りを行わないのは私道にも様々な区分があり、その判別に慎重になるからです。パッと見ただけでその道路の所有権がどのようになっているのかを知ることは出来ません。ここで重要なことは通報をする際に該当する私道が以下のどのタイプであるのかを申告することです。

一般公道と同じ扱いをされる私道

このように私道が公道と自由に行き来が出来る状態である道路を「一般交通の用に供するその他場所(道交法第2条1号)」に該当します。分かりやすく言うなら「公道と同じ」です。例えば観光地で有名な箱根ターンパイクは私道ですが、開通時には制限速度もありそれらに基づく取締りも行われています。

なので道路上を駐車場代わりに使用したり、例え駐車禁止ではなくても同一の場所に12時間以上(夜間は8時間以上)停めると駐車違反になります。上記に当てはまらなくても3.5メートルから4メートルくらいの狭い道路においては無余地駐車(車道側に3.5メートル以上の余地が必要)が該当し駐車違反の対象となります。

警察に通報する際は「公道に繋がるその他道路」と伝えておくと取締りがスムーズに行われます。ちなみに何度も通報されて改善されない場合は、軽犯罪法違反が適用され起訴内容によっては前科が発生します。実際の裁判では無罪判決を確保することは難しいため、ほとんどの場合において有罪になります。

一般公道と同じ扱いをされない私道

公道と何らかの形で接続をしていない、或いは完全に隔離されている構造をしています。上記で説明した箱根ターンパイクが通行止めであった場合、公道とは接続されていないので一般公道としては扱われません。通常では他の道路からアクセスが出来ないのでイメージ的には私有地(視覚的に分かりづらい)とほぼ同一です。

この場合はそもそも車が通行することを想定していないので警察は動きません。巷で散見する「警察官が動いてくれない」はこのパターンです。但し不法侵入や、その他刑事罰に該当する行為においてはこの限りではありません。

私有地でも通報をしなければいけない場合

自宅の敷地内駐車場において家族間で接触事故を起こした場合は民事不介入なので基本的に警察は動いてくれません(もちろん敷地外の場合や第三者が絡む事故の場合は通報する)。一方でスーパーやコンビニ、ショッピングモール等の駐車場の場合は不特定多数の人が出入りする性質上警察への通報義務があります。

これは道路交通法第72条1項後段によって定められています。例えば「アクセルとブレーキを踏み間違えてコンビニに突っ込む事故」の場合、コンビニは完全なる私有地ですが事故現場にはパトカーや警察官の姿が映っていますよね。ようは不特定多数の人が出入りするので道路交通法上の通報義務が発生するのです。

正しい知識で自信を持った対応を

もしあなたが何かしらの迷惑行為に遭遇した場合、実際に行動に移さなければ何も変わりません。これは職場でのパワハラ等と同様に、その人の周囲ではそれらの行為が許容、或いは黙認されていることに起因します。しかしパワハラなら証拠を集めて労基に、道路上での迷惑行為は警察に通報すればいいだけの話です。

特に警察への通報は職場のパワハラとは異なり国家公務員が国家の強制力を使ってあなたの代わりに対処をしてくれます。とりわけ違法駐車に関しては責任の所在が明確であるため、万が一裁判が起きても負けることはありませんし、損害を受けたのならそれなりの賠償を受けることも可能です。

逆に言えばあなたが迷惑行為を行った場合は上記のような罰則を受ける可能性があることをしっかりと留意しておいて下さい。基本的に警察に通報された場合は警察官が来ます。とりわけ「違法駐車車両がいる!」と通報された場合は現在進行形で証拠となる違法駐車車両が停まっているので警察も動きやすいのです。

道路交通法は道路上における危険を排除するために存在しています。今の時代は通話をしなくてもアプリで通報できる時代です。困った際は遠慮をせずに積極的に制度を活用するようにしましょう。アプリでの通報方法においては後日製作予定の記事にてご案内致します。