教習所は判断力の勉強
教習所で学ぶ内容は多岐に渡りますが、大きく分けると「技術」「知識」「判断」の3要素になります。技術面に関しては技能教習で、知識面に関しては学科教習で、判断力に関しては経験で学ぶことになります。知識は独学でも得ることは可能ですが、正しい技術と経験は教習所に通わないと学べません。
ここで重要なのは「正しい」学び方です。家族の誰かが「運転のコツを教えるよ」と言ってくれるかもしれませんが、そもそも日常運転を教わったからといって試験で受かることはまずあり得ません。運転歴40年以上の大ベテランであっても一発試験を受けて一発で合格出来ないことが多いのはそのためです。
目視を含む見落とし数回で失格、右左折前の寄せ不足で失格、黄色信号でそのまま進行して失格、挙句の果てには横断歩道手前における歩行者保護不停止で失格…。技能試験は検定員の裁量ではなく完全なる数値の世界です。正しい知識をしっかりと習得し、それらを運転にフィードバックさせる必要があります。
とりわけ間違えた解釈による判断は非常に危険です。正しい運転をしていたにも関わらずに起きてしまった事故(持病による意識不明等)と、法規を守らずに起きてしまった事故(速度違反等)とではどちらがより責められるのかは明白ですよね。ハンドルを握るということは命を預かるということを自覚しておきましょう。
指導員はいつまでも隣にいない
教習中であればいくらでもアドバイスができます。判断に迷った場合はしっかりとフォローします。万が一の場合は全力で事故を防ぎます。それが教習指導員の仕事です。しかしいつまでも教習指導員は隣に座っているわけではありません。我々は大地の精霊みたいに召喚魔法によって召喚されているわけではないのです。
教習所を卒業したら最終的には一人で全ての判断を行わなければなりません。最初は運転が怖くて仕方がないかもしれませんが、教習所で学んだ技術をしっかりと定着させるためには反復による練習が不可欠です。とりわけ卒業後2ヵ月間は重要な時期であり、ここで練習を続けないとすぐに運転を忘れてしまいます。
世の中には何故ペーパードライバー講習があるのでしょうか。それは一度忘れてしまった運転技術を自らの力だけで取り戻すことは困難を極めるからです。運転技術の低下は正しい判断を行う上での障壁となる場面が多いので(緊急回避の判断は正しいが緊急回避が出来ない等)
そもそも教習所では路上教習を最短で19時限しか行いません。1日24時間に換算すると合計で1日も練習しないまま免許を取得する計算になります。この19時限ですべての正しい判断を習得することは不可能ですから、卒業後にしっかりと練習して判断力を確かなものにして頂きたいのです。