手汗のメカニズムを知ろう
みなさんも運転をしていて、手から滲み出る手汗に悩まされた経験があるのではないでしょうか。教習中も汗で濡れた手をズボンで拭いている教習生を多く見かけます。
手汗は個人差が大きく、まったく手汗が気にならない人もいれば、ハンドルがギトギトになってしまうくらいに手汗が大量に出る人もいます。
手汗は運転面においてマイナス要素が働きやすく、単純にハンドルがヌルヌルして気持ち悪くなったり滑りやすくなったり、汗が蒸発するとハンドルが塩っぽくザラザラしたり…何だか精神衛生上も良くはありませんよね。
出来ることなら防いでいきたい手汗…しかしこの手汗を完全に抑制することは非常に困難を極めます。これは人間に霊長類ヒト目ヒト科としての本能が影響してくるためです。
手汗はヒトの本能
そもそも手汗はヒトを含む霊長類のごく限られた種族でしか存在しません。むしろ生物学上は手汗どころか、汗をかく動物の方が珍しいのです。
これは人間が進化の過程で狩りを行うようになり、長距離を持続的に走れるように適応したためだと言われています。瞬発力では他の動物に負けますから、優れた持久力で獲物を追い続け、獲物が疲れて足を止めた所を狙って仕留める戦法をとっていました。
しかし長距離走行を持続的に行うためには莫大な熱エネルギーが必要となります。体内に熱を溜めすぎるとオーバーヒートを起こしてしまいますから、それらを冷やすための冷却機能が不可欠となるのです。
そのためヒトは全身の体毛を捨て、発汗機能を持たせることによって狩りに特化した進化を遂げました。これがヒトが汗をかくルーツです。
実は獰猛な肉食獣で知られるトラやハイエナは瞬発力こそ速いですが、持続力ともなると連続して2分も走っていられません。これはヒトとは異なり発汗機能がないため、体内の熱を効率良く逃がせないためです。
ちなみに手汗のルーツはさらに古く、人類が猿だった頃の500万年前まで遡ります。猿は天敵に狙われた際に陸上ではなく木の上を移動しますから、その滑り止めとして進化したのが指紋……いわゆる手汗の汗腺です。
みなさんの指に存在する指紋は実は汗を分泌するための汗腺であり、言い換えれば500万年越しの本能であるとも言えます。逆に500万年も消えなかった本能を今日明日で無かったことにするなんて難しいと思いませんか。
手汗のメカニズム
手汗は交感神経の過剰な働きによって発生します。この交感神経が働く一番大きな要因が緊張です。
教習中は何かと緊張することも多いですから、手汗も非常に出やすい環境が整っています。特に検定時は通常の教習と比べても緊張の度合いが大きいですから手汗も凄いことになっています(笑)
ちなみにヒトが緊張して手汗をかく理由は上記(手汗はヒトの本能)と同様です。500万年前に猿だった時代に天敵から逃げる際、交感神経が非常に活発になることに起因します。
手汗を緩和する方法
前述の通り、手汗はヒトの本能ですから簡単に消し去ることは出来ません。しかし消し去ることはできなくてもある程度緩和させることは可能です。
しっかりと睡眠を取る
単純に寝不足の時は交感神経が活発になります。睡眠を多く取ることで、交感神経の働きを鈍くさせることが可能です。
適切な睡眠時間は概ね8時間ほどと言われています。
制汗剤を利用する
Amazonで「制汗剤 手汗」と検索すればこの手の商品がいくらでもヒットします。手に直接塗り込むことで手汗の発生を抑制させることができます。
しかし完全に手汗をコントロールすることは出来ないので、上記の睡眠も組み合わせて実践すると効果的です。