技能教習面ではほとんどメリットなし
子供の頃はわくわくの対象であった降雪も、大人になると「ただ歩きにくくて迷惑な存在」、あるいは「学校や仕事を休むきっかけにならないか」という些細な希望を抱かせてくれる絶望と希望の象徴でもあります。実際は雪が降ったからといってテレワークになるわけでもないのでやや絶望寄りですね。
雪が積もることで少し気になるのが教習所の運営状況…。せっかく教習所に行ったのに臨時休校になっても嫌だし、雪の日の運転は何かと不安がつきものなので教習所に出向くかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?実際に上記のような質問も多々受けるのでこの場を借りて説明致します。
結論から申し上げますと残念ながら雪の日における技能教習にはほとんどメリットがありません。
想像以上に練習にならない
経験にはなりますけど練習にはなりません。雪の日の運転は非常に高度な運転技量が必要になります。それを身に付けられるようになるのはある程度運転に慣れと安定性が生まれてからです。例えるなら跳び箱10段が飛べないのに12段に挑戦しているようなものです。
まず基本操作という10段をマスターした上で応用である12段に挑戦するという流れが教習に限らずごく一般的な練習方法となります。どちらが技量の習得において効率が良いのかは一目瞭然!運転を始めたばかりの教習生は目の前のことで精一杯なので、雪への対応には追いつけていけないのが実情です。
もちろん経験として捉えるならすべてがマイナスになるわけではありません。雪の日の道路状況で積極的に運転してみたいという意思があるのならそれはそれで良いと思います。ただそれが技量の向上に繋がるのかと問われると非常に微妙です。ほとんどの場合はパニックで運転どころではありません。
指導員としても何らかのアドバイスでパニックを緩和させたいとは思うのですが、人の心や恐怖心は本人でなければどうしようもない部分があるのも事実です。戦慄迷宮のようなお化け屋敷で「本物は出ないから平気だよ!」と何度も説明しようが実際に恐怖心が抜けきらないのと同じです。
みきわめや試験が受かりにくい
技能教習においては天候によって求められる運転水準に変化はなく、雪の日であっても晴れた時と同一の採点処理が行われます。「雪だから評価も大目に見てくれる」なんてことは一切ないのと、晴天時よりも悪天候下で運転したほうか当然技能教習が延長される確率も増えるので気をつけましょう。
とりわけ近年多く見かけるシャーベット状の雪が積もるとほとんどまともに走行できません。よって雪が積もった日にはその日の技能教習や技能検定を終日中止にする教習所が多いです。
滑りやすく事故が起きやすい(仮免取消の可能性)
当たり前ですが路上教習においては所内教習以上に神経を使うようになります。最近の雪は質量が多くて重たいのでタイヤの溝に雪がはまりやすく、チェーンやスタッドレスタイヤを履いていたとしても滑ることがあります。それは同じ路上を歩く歩行者や自転車にも言えること。
積もった雪の中を歩くことに気を取られたり、雪を避けて車道に出るなど、通常時よりも危険な行動に出ることがあります。どんなに気をつけていても滑るときは滑ります。車も雪の日は機動力が失われる(滑る)ので、万が一事故を起こしてしまうと仮免取消の可能性があります。
そもそも教習が中止になる
先日の雪の日でも教習所にはたくさんの教習生が訪れました。「こんな日によく来るなぁ~」とある意味関心していたのですが、複数の教習生に理由を訪ねてみたところ次のような回答が返ってきました。
- 雪だからキャンセル待ちに乗れると思いました。
- 早く免許が取りたいので頑張ってきました。
- 親が雪の日も運転しといた方が言いよって言ってきたので。
結果として技能教習中止です。教習しないと明日潰れる!ってくらい経営状況がドン底の教習所しか営業していないと思います。原則として教習所は人命優先のため、雪がある程度積もると警察から営業休止の要請がきたりします。これを無視すると行政処分なので教習所はそれに従います。
せっかく雪のなか苦労して教習所に行っても一切乗ることはできません。雪の日だから人は来ないだろうと考える人はかなり多いのでキャンセル待ちの倍率も増えます。「せっかく来たのに…」とならないためにも教習所のHPなどで情報を収集してから判断しましょう。
ちなみに多くの場合は雪が降った次の日も凍結の影響で中止になる例が多いです。
学科教習にはあまり影響がない
ふつうは教習所に屋根があると思いますから学科教習においては雪が降ってもさほど影響が出ません。ただ教習期限が切羽詰まっている状況を除いてあえて雪の日に行かなくてもという気にはなりますね。
結論
一言でまとめると「雪の日は教習所に行かないほうが良い」が結論です。せっかく教習所に来たのにキャンセル待ちを書くだけ書いて何もせず帰路につく…。可哀想ですが我々には対策がありません。教習所に限らず雪の日はできるだけ外に出ないほうが安全です。
ニュースにも取り上げられるように雪の降り始めはスタッドレス未装着の車も多いですから、歩行者の立場として行動しているときも巻き込まれないようにする注意が必要です。