オルガン式と吊り下げ式
オルガン式とはその名の通り、ピアノのオルガンとほぼ同じ形状を用いたペダルです。あまり国産車では見かけない形状ですね。
一方の吊り下げ式とはアクセルペダルが足元の奥からニョキっとぶら下がっているような形状をしています。
上記の写真を見ただけでも形状に大きな違いがあることが分かると思います。普段何気なく踏んでいるペダルにも種類があるってことですね。
国産車では吊り下げ式が多く、メルセデスやBMWを含むドイツ車はオルガン式が多く採用されています。オルガン式は操作性や踏み心地に優れる反面コストがかかる傾向にあります。一方で吊り下げ式は操縦性、踏み心地がオルガン式に比べて劣る反面コストを安くできるメリットがあります。
なぜ国産車は吊り下げ式なのか
吊り下げ式でも性能面に関して困ることはありません。
「価格が上がってもより良い物」を求めるのであればオルガン式に行きつくだけであり、限界を求めないのであれば吊り下げ式でも事足りてしまうのです。
つまりこだわりの問題です。メルセデスやBMWのような高級車メーカーでは、ユーティリティーよりも走りを大切にしますから必然的にオルガン式を採用する形になったのでしょう。
一方で多くの日本人が車にもとめるのは「広さ」と「安さ」と「燃費」です。ほんの少しの操縦性が上がるよりかは室内空間を少しでも広くして移住スペースを大きくしたいのです。
近年ではマツダが国産車でも珍しくオルガン式を採用してきていますが、仮にそれが最良の選択であるならトヨタや日産でも同じような流れになるはずです。
だけどならない。
同じように走りにこだわりのあるスバルにだってオルガン式の流れには現状なっていません。
逆にマツダの車を選ぶときに「オルガン式だったから」なんて理由で選んだりはしませんよね。
まぁマツダの生き残り戦略としてはこういった細かい部分にもこだわらないといけない実情が見え隠れしていますが。
かつては日本車でも主流だった吊り下げ式
実は国産車でもかつて主流だったのはオルガン式ペダルであったことをご存知でしょうか?
あるとき日本の技術者がオルガン式よりも安価に生産できるペダルを開発しました。それが吊り下げ式ペダルです。
するとこのペダルはコストだけではなく、フロアマットを生産する上でも汎用性が高くなることを発見しました。
「イェーイ!これからは吊り下げ式のペダルが日本の夜明けぜよ!」
って言ったかどうかは分かりませんが、いつの間にか日本におけるオルガン式ペダルは衰退していきましたとさ。
教習車で使われているコンフォートは90年代の設計でありながらオルガン式を採用していますが、これは高級車だからではなく昔の車はこうだったからが正解です。
吊り下げ式は日本のコストダウン精神に基づく一種のガラパゴス化とも言えるのではないでしょうか。命名するのならガラパゴスペダル?