キックダウンの仕組み
教習所ではよく耳にするけど日常的には耳にしない言葉…。日常的には頻繁にお世話になっている機能ですが、特別意識してその効果を実感することはほとんどないでしょう。
キックダウンをそのまま英訳すると「キック(蹴る)」+「ダウン(おろす)」になります。
つまり蹴り下ろすという意味ですが、これを足元に置き換えるとアクセルを「踏みこむ」という意味になります。
ちなみにこのキックダウンという現象はAT限定(CVTは除く)の機能です。
車のほとんどにはギアという歯車が、異なるサイズでいくつか配置されています。カタログで5速ATと書いてあれば5個の歯車があるということですね。
この歯車を速度に応じて切り替えることで燃費性能の向上やスムーズな加速を実現させているのです。
ようするに自転車のハンドルについているギアの切り替えスイッチが自動化していると考えれば良いでしょう。
しかしATの場合はMTのように自分のタイミングでギアを選択することができません。
従って急加速が必要な場合はギアを下げたいのですが、ATのコンピュータが「加速が必要」と判断するのに0.5~1秒ほどのラグがあるのです。
ATの場合はアクセルを踏み込むことでコンピュータが「加速が必要」と判断し、ギアが下がる仕組みとなっています。
この現象をキックダウンと言い、前述のタイムラグの影響でガックンと言った衝撃が走ります。
この衝撃の大きさは排気量が少なくなるほど顕著に表れ、排気量が増大するほど感じにくくなります。
キックダウンの起きない車種
キックダウンはAT特有の現象ですが、同じATの区分に入るCVT(無段変速装置)は例外です。
CVTは構造上、ATのようなギアが複数あるわけではなく、プーリーの大きさを変えることで出力の調整を行います。
つまりギアに該当する装置がひとつなのでそもそもギアチェンジがないのです。
電気自動車も動力伝達がモーターのみになるのでギアが存在しません。
あくまで自動的にギアが下がる現象をキックダウンと称するため、手動で切り替えるMTにもキックダウンの概念はありません。
キックダウンはどのように使う
たまに教習生に「キックダウンはどのような時に使いますか?」と質問することがあります。
すると「お母さんから逃げるため」とか「警察から逃げるため」といったような想像もつかないような面白い答えを連発してくれることがあります。
正しくは急加速の必要な場面…すなわち高速道路の合流時などに使用することが適切でしょう。