数秒先を予測する運転が事故防止に効果的(図)

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初心者の運転にありがちな行動

路上教習を始めたばかりの教習生と何十年も経験を重ねたドライバーとでは決定的に異なる要素があります。その1つが先を読む能力…すなわち予測運転です。慣れていないうちは目の前のことだけで精一杯になってしまうため、現在起きている危険に対してのみ意識が働きがちになってしまいます。

目線も前方を走行している車のトランクかナンバープレート、人や自転車の動きに集中しているため、「今ここの道路の制限速度は何キロでしょう?」と質問をするとなかなか答えられない教習生が過半数を占めます。ようするに標識を確認するまでの余裕が現時点ではないということになります。

とりわけ早い段階で意識をしてほしいことは「人が飛び出してきた!危ない!」ではなく「人が飛び出すかもしれない!構えておこう!」という予測の意識です。そもそも人が飛び出してきてから急ブレーキで対処するのと、事前に危険を予測しておき低速で走行するのとでは大きくリスクが異なります。

例えばですが教習中に多く散見される現象の1つに前方左折車における対応の仕方があります。前方左折車が曲がり始めた際に、至近距離であれば当然自車も速度を落としますが、何故か前方左折車がそのまま曲がり切ることを前提としてそのまま進行してしまおうとする傾向があるのです。

しかしながら前方左折車も後方から歩行者や自転車が迫ってくれば急停止をする可能性があります。それらの想定が出来ていないので、いざ前方左折車が急停止をするとブレーキが間に合わなくなり、右にハンドルを傾けて回避行動を取ろうとします。これは本人が考えている以上に危険な行為です。

そもそもハンドルを右に振って走行すること自体が他車にとって迷惑であり、仮に上記のシチュエーションにおいて右側にも車がいた場合は接触事故を起こしてしまいます。つまり目の前の一過性の出来事で全てを判断してしまい、周囲の状況変化に追いつけていないのが初心運転者の行動と言えるでしょう。

もちろん最初は出来なくて当たり前です。こればかりは地道に練習を繰り返して慣れていくしかないので、日頃から一度に捕捉できる情報量を増やしていくための意識が必要になります。これは車に限らず自転車に乗っているときも練習出来る要素なので、予測能力の早期習得に尽力しましょう。

運転上級者の先読み能力

運転経験の長いドライバーは「起こりうる可能性のある危険」に対して効率よく対処している傾向があります。もちろん個人差や能力差、運転に対するモラル意識の違いもあるので、運転経験が豊富だからといって一概にも安全とは言えないことが大前提です。当然ベテランでも事故を起こします。

「起こりうる可能性のある危険」は様々な経験から事故の生じるリスクを多方面から推測し、予知することで防げる可能性が高くなります。例えばインフルエンザにかかりやすい体質の人は事前にワクチンを打つことである程度の予防は可能です。これも実際に起こる(感染する)とは限らない可能性への対処となります。

万が一を想定しておけば不測の事態に陥ることはありません。なぜなら不測の事態は想定外の事情だからこそ生じることであり、万が一を想定していた場合はそれ自体も想定内になるからです。ですから目の前に人がいなくても「数秒後には人が出てくるかもしれない」と予測して運転することが大切です。