路上運転で最も大切な判断
現在起きている事故のほとんどが人のミスによるヒューマンエラーです。今の車はどれも優等生ですので、機械的な故障や誤作動なんてほとんど起きません。
タイヤ交換を怠ってパンクしたのなら、これも立派なヒューマンミスの範囲です。つまり交換をしなかった(という判断を下した)人間のせいと言うことになります。
運転には必ず「認知」「判断」「操作」が伴うのですが、このいずれかにミスが生じた場合に事故が起こると言っても過言ではありません。
認知によるミス
- 歩行者や自転車などの発見が遅れた
- 飛び出しに気がつかなかった
- 路面の凍結や雨による冠水などの変化に気がつけなかった
判断によるミス
- 対向車との距離を見誤る
- 歩行者や自転車が飛び出してこないと思い込む
- 他の車はこちらの動きを把握してくれていると思い込む
操作によるミス
- 速度を出しすぎた
- アクセルとブレーキを間違えた
- ハンドル操作を誤った
これらのミスを減らすには慣れと経験が必要です。しかし路上教習を行ったばかりの人に「いきなり慣れろ」とか言われてもそう簡単に慣れるほど簡単なものではありません。
とりわけ経験においてはどうしようもないですよね。精神と時の部屋(ドラゴンボールより)でもあれば別ですが。
特に路上の世界においては自分が考え、悩んでいる最中においても周りの時間は常に動いているわけですから、限られた少ない時間の中で最善の判断をしなくてはなりません。
目線は遠く、目配りは広く
これは私がまだ教習生だった頃、当時の指導員の方に教えてもらった内容です。
これは私が指導員になった今においても「この言葉に行きつく」と考えています。
目線を遠く、そして見るところは広く……簡単なように聞こえて、やってみるとけっこう難しいんですよ。
初心者にありがちな最初の路上教習
- 1~2台ほど先の路面を見ながら走る
- 前の車の後ろ姿をひたすら追いかける
- 左の縁石と真ん中の中央線を眺めながら中心を走ろうと模索する
- 中央線がなくなると何故だか車が中央寄りを走る
- 第一段階で出来たはずの目視が出来ない
- 100m先で何が起きているのか考える余裕がない
- 信号機が青だと安心して確認を怠ってしまう
- 合図をつける時期が早い
これらのひとつにでも当てはまる項目がある方は、前述の目線と視野について再認識した方が良いかと思われます。
どれもが事故に直結する要素ばかりです。運転において重要なことは「いかに早く危険を認知するか」ということです。
そのためには情報を多く取り入れるために遠くを見る必要があり、ひとつの箇所に集中せずに万遍なく視野を広げる必要があります。
最初の頃は目の前の出来事ひとつひとつに対応することがやっとですが、練習を重ねていくと次第に視野を広く持てるようになります。
俗に言う急ブレーキとはまさにこの発見が遅れた状態を言います。
事前に危険を察知していれば十分手前で対応が可能ですし、そこに到達するまでに時間が稼げるので最善の方法を行える可能性が向上します。
例えば…
「お化け屋敷はなぜ怖いのか?」
それは迫りくる危険(驚かし)がいつ発生するのか分からないからです。逆に「あのロッカーの後ろから驚かしてくるな。」ということが分かっていれば心の準備が出来ているのでさほど怖くはありません。
このようにどのような危険に対しても「構え」の姿勢が出来ていれば、今後の運転における事故が起きる確率を大幅に減らすことが出来るのです。