クラッチ操作を1秒以内で完了させるコツ(画像あり)

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MT車の発進は時間をかけてはいけない

クラッチ操作に時間をかけて良いのは所内だけです。一度路上に出てしまうと他の車は教習車だろうと初心者マークがついていようと対等なドライバーとして見てきます。特にMT車においては発進時のクラッチ操作に繊細さが求められる部分があり、所内で許されたエンストも路上では許されません。

特に交通量の多い交差点でエンストを起こしてしまうと後ろから警音器で鳴らされたり他の車の邪魔になったりで凄く嫌な気持ちになると思います。周囲から見ればあなたの車がATかMTかなんて判別もしません(出来ない)し興味もありません。ただ目の前を妨害している車が事実としてあるだけです。

「あぁ、これがATだったらどんなに楽だったことだろう」と思ってしまうかもしれませんが、それはMTの操作にまだまだ慣れていないがための悩みです。練習を重ねれば必ずクラッチをスムーズに繋ぐことができるようになります。自信がなくても大丈夫!自信をもつにはまず第一に練習からです。

ここでは本気でクラッチ操作を習得したい人のためのアドバイスを中心に記載していきます。

スムーズな発進の心得

運転教本に記載されているMT車の発進方法は以下の通りです。

  1. アクセルを一定に踏む
  2. クラッチを徐々に離す
  3. アクセルを踏み込む

読むとシンプルですが実際に初めてクラッチに触れると想像以上の難しさに心が折れてしまう人もいます。練習には正しい理解と順序が必要です。ちなみに車関連の用語における「クラッチを離す」と「クラッチを上げる」は同じ意味なので覚えておきましょう。

1.クラッチが繋がる高さを覚える(クラッチの練習)

エンジンをかける際は写真のようにクラッチを完全に踏んでいるはずです。うまくエンジンがかからない場合はクラッチを完全に踏んでいない可能性があります。現在販売されているほとんどのMT車は急発進を防ぐためにクラッチスタートシステムが搭載されているからです。

次にクラッチを徐々に離していきます。イメージ的には熱い温泉に入るときのようなゆっくり加減です。車によって差はありますが、半分くらいクラッチを上げると僅かな振動を感じるはずです。これがいわゆる半クラッチ状態。エンジンの動力がギアに伝わり始めていることを意味しています。

この半クラッチ状態をしばらく維持することでギアがしっかりと繋がります。つまりクラッチを完全に踏んだ状態から徐々にクラッチを離し、半クラッチ状態のところで少し維持する必要があるのです。ここで焦ってクラッチを完全に離してしまうとエンストが発生します。

この半クラッチ状態になるまでの時間が実質的な発進速度とほぼイコールになるのですが、最初の頃はエンストが怖くてなかなか足を上げることができません。クラッチには動力の全く伝わらないあそびの部分があるので、最終的には1秒以内に半クラッチ状態に出来るように練習を繰り返しましょう。

ギアが完全に繋がればクラッチから足を離して大丈夫です。ギアが繋がったかどうかは足の離し方やメーターで確認するのではなく、基本的には足裏で感じる振動で判別します。半クラッチ状態で抵抗を全く感じない車は存在しないので、どの振動具合で足を離すべきかを習得して下さい。

2.アクセルの踏み加減を覚える(アクセルの練習)

次にアクセルの踏み加減を覚えましょう。意外にもアクセル操作のほうがクラッチ操作の習得よりも難しいという声が多いです。MT車はクラッチを踏んだ状態でアクセルを踏むと想像以上にエンジンが回転します。これはAT車に搭載されているトルクコンバーターが非搭載なので抵抗が少ないからです。

発進に必要なエンジンの回転数は概ね1,500回転~2,000回転ですが、最初の頃はアクセル調整がうまくいかずに強く踏みすぎてしまう傾向(4,000回転〜5,000回転くらい)があります。これは本来つま先で踏むべきアクセルを足の裏全体で踏んでしまうことによって起こることが多いです。

このアクセル調整に手間取ってしまうと発進が遅れ、結果的に他の車に対して迷惑をかけてしまうことになります。

3.アクセルとブレーキを組み合わせる

これまではクラッチの離し方やアクセルの踏み方にポイントを絞って説明をしてきましたが、本来の発進方法はアクセルとクラッチの同時進行が必要です。アクセルを踏まずにクラッチだけで発進する行為をクラッチ発進と呼び、基本的には技術の未習得と見なされるので認められていません。

こればかりは慣れが必要ですが、何度も練習を重ねていけばほんの数分でマスターすることも可能です。手応えを感じることが出来るまで頑張って練習を重ねましょう。

失敗に繋がるメカニズム

そもそもクラッチを上げる前になぜアクセルが必要なのかを理解していない人が散見されます。発進時のアクセル操作はエンストを防ぐために行うものであり、急加速を促すために行うものではありません。走り高跳びで例えるなら助走の部分がアクセル操作になります。

多くの教習生は頭では分かっていてもエンストの恐怖からクラッチを上げる直前にアクセルを緩めてしまう傾向が見られます。

  1. アクセル調整が上手くいかず、踏みすぎてしまうことで音に驚く。
  2. その音にビックリしてクラッチ操作が雑になる。
  3. エンストが発生。
  4. アクセルに対する恐怖がより記憶に残りやすいので結果的にアクセルを踏めなくなる。

以上の負の連鎖が生じると慣れるまでに時間がかかってしまいます。もう一度言いますがエンストの原因はあくではなくクラッチの雑さです。たとえアクセルを踏みすぎてエンジンが9,000回転しようが(壊れちゃう可能性大ですが)クラッチさえ丁寧ならスムーズに発進することができます。

運転教本にもしっかりと記載されていますが、まず発進を行う際は先にアクセル、次にクラッチということを覚えておいて下さい。早いうちに慣れておかないとS字やクランク、方向変換などの低速時にクラッチ発進をしやすくなってしまいます。癖と同じで後々修正していくのは大変な労力を要します。